NHKの『人体シリーズ』が面白い

    年始は箱根駅伝を見て感動された方も多いと思いますが
    陸上選手だったわりに
    私は箱根駅伝を絶対に見る!という方ではありません
    他に面白い番組があればそちらに心を奪われてしまいます
    だから他に何か面白い番組はないか?と
    チャンネルを様々切り替えながら見ていたところ
    『人体シリーズ』という番組に目が止まりました

    1月3日、その日に見たのは『プロローグ』で

    テーマは
    【人体は❝巨大な情報ネットワーク❞である】という人体観でした

    これまでは
    脳などのごく限られた臓器が
    メッセージ物質を放出していることは知られていました
    そして脳が指令を出して各臓器が働いていると考えられていたようです
    しかし、今回の内容は
    脳の指令を待たずして
    全身の臓器(細胞)たちは
    直接メッセージ(メッセージ物質)をやりとりし
    情報交換しながら(ネットワークを作り)
    人の命や健康を支えていることがわかってきたという内容でした

    私達、鍼灸師も学生時代に
    解剖・生理学など基礎医学の勉強をします
    それと同時進行で東洋医学も勉強していきます
    この番組を見終わった後の感想として

    『えっ!現代医学の世界では脳が1番って考え方だったんだ
    今回の臓器のやりとりについては知っていたような気がするけど
    どうしてだっけ?』でした

    『なんでこう思ったんだっけ?』

    『東洋医学的な考え方には脳という考え方がないよね
    5(6)臓6腑や奇経が経絡を通して1本の線で繋がっていて
    それらがお互いに経絡を通してバランスを取り
    影響を与え合いながら働いている!だったよね』 と考え
    東洋医学的な考え方に似てるからなんだ!という思いにいたりました
    東洋医学的な考え方は目には見えませんし
    説明もなかなか難しい部分もあったりします
    それが現代の研究により細かく目に見える形で発見され
    それぞれの臓器(細胞)がバランスを取りあい
    連絡を取り合っているとたくさんの人に伝わっていくと
    今後、様々な人達の医療に対する見方が少し違ってくるのでは?と思えます

    この日は
    腸内では消化された食べ物が入ってくると「ごはんが来た」と
    全身に伝える『インクレチン』というメッセージ物質が放出されること

    心臓から放出されるメッセージ物質にはANPがあること

    関節リウマチの方が免疫細胞の放出する警告メッセージのデマにより
    症状が引き起こされていること

    癌細胞からもメッセージ物質が放出されていること など

    1つの臓器や細胞についての詳しい話ではなかったけれど
    内容的にも最先端の手法で撮影された様々な人体内部の映像が見れたりと
    とても興味を惹かれてしまいました

    内容を少し詳しく掘り下げると
    心臓から放出されるANPは
    何等かの原因で血圧が上昇したり、心臓に負担がかかると
    「疲れた、しんどい」というメッセージを全身に伝える物質であるようです

    ANPの働き
    腎臓が受け取る → 尿量が増加し水分を排出することで血圧を下げ心臓の負担を減らす
    血管が受け取る → 痛んでいる(ささくれ)血管を速やかに修復し
    血管内の流れを滞らせて血栓ができないようにすることで
    心臓の負担を減らす

    血管がANPを受け取ったときに血管を修復する働きは
    癌の転移や再発を防ぐという効果が期待されており
    ANPを使った臨床研究が現在おこなわれているようです

    癌の手術後には
    わずかながら癌細胞が血中に流れ出して全身を廻っており
    この癌細胞は数日で死ぬため、普通は問題にならないそうです
    しかし、血管にささくれた場所があると
    ここから癌細胞が入り込みやすくなり
    この入り込んだ癌細胞が臓器の組織に入ってしまうと
    転移が起こることがあるようです
    これらに対してATPを使った治療法は効果を上げているようでした

    ANPを投与した場合の術後2年後の無再発生存率   91%
    ANPを投与しなかった場合の2年後の無再発生存率  67%
    (肺がんで手術された方のデータの可能性が高い)

    また、癌細胞から放出される物質を
    癌の早期発見に役立たせるための開発も進んでいるようです
    この検査法が開発されると
    血液1滴で13種類の癌を早期発見できるそうです
    (大腸癌、胃癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、食道癌、
    肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、卵巣癌、膀胱癌、肉腫、神経膠腫)
    それは癌細胞から放出されるマイクロRNAが
    癌のタイプにより放出される量や種類が異なることがわかってきたからのようです
    現在、がんを正しく判定できる制度は95%以上と結果が出ており
    2020年前後の実用化を目指し研究が進められているようです

    この癌検査法が確率されると
    もっと簡単に安い料金で
    1度に多数の癌検査が受けられるようになり
    癌の早期で治療を受けられる人が
    増えていくことが考えられます
    夢のような検査かもしれませんが
    より早く実用化されると嬉しいですね

    関節リウマチ患者さんの関節内では
    私達を敵から守ってくれるはずの免疫細胞(マクロファージ)に異常が起きて
    身体の一部である関節組織を『敵』とみなしてしまっているようです
    そうして敵がいないにも関わらず活性化し『敵がいるぞ!』と
    仲間の免疫細胞にメッセージを伝えるメッセージ物質が放出されます
    そのデマを受け取った免疫細胞は次々に活性化し
    さらにデマであるメッセージ物質を拡散していきます
    これにより関節の組織を攻撃します
    活性化した免疫細胞は関節の組織を攻撃するだけでなく
    免疫細胞同士が合体して『破骨細胞』へと変化し骨まで壊してしまいます
    これに対する治療法として注目されているのが
    免疫細胞にデマが伝わるのをブロックして
    病気の進行を抑える効果があると考えられる生物学的製剤です
    これには課題もあります
    大量生産が難しいため薬価が高かったり
    副作用や効果についても個人差があり決して万能とはいえないようです
    しかし、現在、関節リウマチ患者さんの4割が使っており
    発症後2年以内に急速に進むといわれている
    骨の破壊の進行を食い止める効果があるとされ
    4割程度の方に高い効果が
    8割以上の方に一定の効果が認められているようです

    人間の身体に存在する臓器(細胞)は
    それぞれが考え意志を持って動いている部分もあり
    血管を回路のような形で使用し
    メッセージ物質のやり取りをしているようです

    これらメッセージ物質の解明により
    メッセージ物質の異常やメッセージ物質が届かないことなどが
    様々な病気を引き起こしていると考えられ始めていて
    今まで原因が分からず対症療法しかなかった難病の根本治療が
    開発されていくと期待が寄せられているようです
    どんな病気にしても
    不安や痛みなどとの闘いでで辛いです
    私は関節リウマチが進行して
    関節が複数ヶ所変形してしまい
    車椅子生活になられている方や
    膝などの関節の手術をされた方などにお会いしてきました
    痛みがかなり強い方もいらっしゃいます
    それらの方々が少しでも苦痛から解消されるよう
    このメッセージ物質の研究がどんどん進んで
    現代医学の健康常識や医療を変え
    新たな世界を切り開いていってほしいと思います

    このシリーズは第1集~第7集まであります
    現在、第4集まで終了していますので
    少しずつブログで紹介できたら・・・と思っています

    【参照】
    NHKスペシャル「人体」命を支える❝神秘の巨大ネットワーク❞
    世界初!心臓からのメッセージで「がん転移予防」
    がん検診に大革命!血液一滴で13種類のがんを早期発見
    国内患者数70万人・治療困難な関節リウマチに特効薬!