妊活や不妊治療に鍼灸治療は必要ないのかな?

    鍼灸治療の前と後の比較

    当院に受診される4年ほど前から医療機関で不妊治療を開始されていた方の鍼灸治療開始前と鍼灸治療開始後の変化です。口頭でお聞きできた分になりますので、抜けている部分もありますが、ご了承ください。

    鍼灸 鍼灸 鍼灸 鍼灸 鍼灸
    採卵回数(回目)12
    採卵数1416152016
    成熟卵1112
    正常卵10
    受精数1310
    胚盤胞
    (5日目)
    31273
    胚盤胞
    (6日目)
    32数個
    着床前検査可能な数00033
    治療開始から採卵までの期間不明不明不明約4年約5年
    鍼灸開始後の採卵までの期間             2ヶ月半13ヶ月半
    妊娠判定無し無し無し有り有り
    ※鍼灸治療開始前1回目と2回目はA病院、鍼灸治療開始目3回目はB病院、鍼灸治療後は再度、A病院にて治療。

    鍼灸治療で卵子の質の向上は期待できる?

    鍼灸治療すると卵子の質の向上が期待できるよ。
    という内容を見たことがあるかもしれません。
    当院のサイトでもそう紹介しています。
    でも、それって、本当?と思いませんか。
    鍼灸治療が卵子の質の向上にどう作用し、どの程度向上するのか?など
    詳細なことは分からないことは多く、それらの研究報告もほとんどありません。


    ただ、鍼灸治療を行うことで、血流が良くなることを報告する研究は多数あります。
    その他にも鍼灸治療を行うことによる身体への作用はさまざま報告されていますが、
    卵子の質の向上と関わる作用としては、骨盤腔内の血流が増加することにより
    栄養素やホルモンなどが卵巣内へ運ばれるやすくなることが関与するのでは?と考えられています。

    でも、それを実感することはなかなか難しいと思います。

    鍼灸治療を開始される前は、
    グレードの良い受精卵(胚盤胞)を移植してもなかなか妊娠できなかったけど
    鍼灸治療を開始した後に採卵した受精卵(胚盤胞)を移植したら妊娠しました。
    というそのことが嬉しくて、カルテを見直したりすることがあまりありませんでした。
    でも、鍼灸治療前と鍼灸治療後の違いがカルテを見直さなくても
    はっきり分かる経験をしました。とても分かりやすいと思いますのでご紹介します。

    表の中で注目してほしいところ

    卵子の質の向上を判断するのに見てほしいのは、着床前検査ができる受精卵(胚盤胞)の項目です。
    着床前検査は、一定のグレード異常の受精卵(胚盤胞)でないと検査に出すことができません。
    鍼灸治療開始前は、全ての受精卵(胚盤胞)が着床前検査には出せないグレードだったのですが、
    鍼灸治療開始後は、1回目の採卵でも2回目の採卵でも
    3個ずつ着床前検査に出せるグレードの受精卵(胚盤胞)だったのです。

    ただ、受精卵は精子の状態も関与しているため、
    受精卵(胚盤胞)のグレードだけで卵子の質の全てが把握できるとは思っていません。
    しかし、今回、ご紹介した方は、ご主人は鍼灸治療をされていませんでしたし、
    ご夫婦共に、日常生活において
    鍼灸治療開始後に何か新たに始められたこともありませんでした。
    ですから、鍼灸治療を行ったことにより卵子の質の向上があったため、
    受精卵(胚盤胞)のグレードが良くなったのではないか?と私は考えています。

    表だけでは分からいこと

    A病院での1回目の採卵はロング法、A病院での2回目の採卵はショート法でした。
    B病院での採卵は、治療にレトロゾールの服用後、注射によるホルモン補充で
    鍼灸治療開始前は3回とも不妊治療の方法が異なります。
    鍼灸治療開始後は、再度、A病院での治療になります。
    治療方法はクロミッドの服用とhCGーhMGのホルモン補充による治療です。
    鍼灸治療開始後は、1回目の採卵時も2回目の採卵時も同じ治療法でした。

    鍼灸治療開始後の最初の採卵での妊娠は、着床前検査に出せないグレードの受精卵(胚盤胞)でした。
    病院で不妊治療を始められてから4年以上経過されていて、はじめての妊娠でした。
    しかし、心拍確認はできたのですが、残念なことに妊娠を維持することができませんでした。
    その後、グレードの良かった受精卵を移植されましたが、妊娠判定がでませんでした。

    鍼灸治療開始後、2回目の採卵の前に3ヶ月ほど治療をお休みされ、
    体調を整えてから再度に採卵に望まれました。
    この時は、採卵数が前回より少なかったりしたのですが、
    着床前検査に出せる受精卵(胚盤胞)の数は3個と変化がありませんでした。
    そして、グレードの良かった受精卵(胚盤胞)を移植され、妊娠されました。

    最後に!

    不妊治療を開始されて妊娠されて鍼灸治療を卒業されるまで6年近く経過されていたと思います。
    鍼灸治療を開始されたのは30歳後半でした。
    鍼灸治療に来られる前にさまざまな検査もされていました。

    また、今までなら、心配することのなかった新型コロナウイルスの感染拡大などもあり、
    不妊治療を開始されてから大変なことや辛いこともたくさんあったと思います。

    だからこそ、妊娠して、鍼灸治療を卒業していただけたこと、本当に良かったと思っています。

    まだ、新型コロナウィルスの感染についても今後どうなるか?わからない状況でもあります。
    安定期に入られても無事にご出産されるまでは不安なこともあると思います。
    ですから、どうか、何事もなく、無事に元気なお子さんをご出産されますことを心から祈っております。
    そして、いろんなことを乗り越えてくださったことに心から感謝の気持ちをお伝えしたいです。

    私もとっても嬉しかったです。