子供が欲しいのになかなかできなくて病院で検査したら
子宮内膜症(チョコレート嚢腫)があることがわかった!という方も少なくないと思います。
チョコレート嚢腫の治療として鍼灸治療を考えられる方もいらっしゃると思いますが
チョコレート嚢腫ではなく、
不妊治療として鍼灸治療をされている方もいらっしゃると思います



病院で教えてくれるところもあると思いますが
チョコレート嚢腫があるとAMH値が低くなることが多く、
チョコレート嚢腫の手術後、AMH値がさらに低くなります。
また、チョコレート嚢腫の手術をしていない人と嚢腫のない人で
条件をマッチさせ体外受精の場合の卵巣刺激による卵の質を調査すると
採卵した卵子数はチョコレート嚢腫のある人は有意に少なくなりますが、
成熟卵子数、受精率、トップランクの胚率、着床率、胚移植あたりの妊娠率、
胚移植あたりの出産率はほぼ同等だという報告が海外の論文で発表されているようです。
また、チョコレート嚢腫があるほうの卵巣からは排卵しくいことが知られています。
では、内膜細胞から腹腔内に分泌され卵・胚や受精に影響を与えると考えられている
炎症性サイトカインについてはどうか?というと
チョコレート嚢腫がある卵巣から排卵していたとしても
自然妊娠や人工授精などの場合、妊娠するまでの様々なステップの中で
この炎症性サイトカインの妨害により不妊症になる場合が考えられるようです。
しかし、体外受精の場合には、チョコレート嚢腫のある卵巣からも採卵でき、
炎症性サイトカインによる妨害による影響もないという論文報告もあります。
ただし、チョコレート嚢腫の手術後で再発していない場合は、
この炎症性サイトカインの影響も少なく、癒着などがひどくない場合は
自然妊娠や人工授精での妊娠が期待できるそうです。
但し、チョコレート嚢腫の手術を2回目は
卵巣機能はかなり良くない状態になるという海外の論文もあるようです。
それは、嚢腫壁が厚くなっており、余分に組織を摘出してしまうことを意味し、
術後3ヶ月のAFC(胞状卵胞数)が明らかに少なるなるからのようです。



これらのことはチョコレート嚢腫がある場合、
タイミング、人工授精、体外受精のどの治療を行うがいいのか?
手術をどのタイミングで行えばいいのか?
急を要していない場合、迷ったときの判断する情報の一つになると思います。



今の医療では妊活とチョコレート嚢腫の治療を同時に行うことはできません。
妊活か?チョコレート嚢腫の治療か?どちらかを優先させることになります。



チョコレート嚢腫の治療を優先させた場合、
低用量ピルの服用で妊娠に似た状態にし排卵を抑制する。
リュープリンなどの注射で偽閉経状態にする。などで
一時、チョコレート嚢腫の進行をストップさせます。
ただし、この方法では根治には繋がらず
これらの方法でもし小さくなった場合は、
嚢腫内の水分が吸収されて容積が減っているだけのようです。
チョコレート嚢腫が大きい場合は、手術をすすめられる場合もあると思います。
チョコレート嚢腫が大きくなると腹腔内で破裂したりすることもあり
危険な状態に陥ってしまう可能性もあるからです。
妊活を行う場合、大きさや年齢、良性か?悪性かなどにもよると思いますが、
チョコレート嚢腫の部分(核出)摘出になる場合がほとんで
卵巣の全摘出手術を行うことはあまりないと思います。
しかし、根治を目指すなら卵巣の全摘出手術が最も有効と考えられています。
妊娠すれば、子宮内膜症(チョコレート嚢腫)がよくなる!
と考えられる節もあるようですが、
妊娠、出産の中でしばらくの間は排卵しなくなり、
この期間中に進行がストップすることで、
少し良くなる可能性が考えられる!というだけです。
月経が始まり、排卵をするようになると
再度進行する可能性が出てくるのです。



不妊治療を優先させた場合、治療のためにホルモン補充を行う方が多く
この間、妊娠しない期間が長くなると
チョコレート嚢腫は徐々に大きくなる可能性があります。



では、鍼灸治療の場合どうなのか?というと
私が京都で鍼灸治療を学んでいたときの考え方も病院で行う治療と同じで
妊活のための鍼灸治療か?チョコレート嚢腫(子宮内膜症)の治療か?
やはり、どちらかを優先させる治療方法でした。
効果としては鍼灸治療で
子宮内膜症がよくなられる方もいらっしゃいますし、
よくならない方もいらっしゃいます。
もし、鍼灸治療を行う場合でも排卵を止めている状態で
治療されたほうが治療効果が高くなるのではないかと私は考えます。



チョコレート嚢腫は、毎月、毎月、少しずつ長い年月をかけて形成され、
女性にとっては、チョコレート嚢腫が見つかってから
閉経するまでずっと付き合っていかなければいけないことになります。
だから、出産後も閉経前後までは定期的に検査をする必要があると思いますし、
治療を行って進行しないようにする必要もあると思います。
チョコレート嚢腫は、手術後の再発率も高く癌化する可能性もあります。
閉経すると進行しないと考えられていますが、もし、閉経時に
ある程度の大きさに達している場合、癌化することも多く注意が必要となります。
チョコレート嚢腫の癌化は、日本人を含む東洋人に多く
日本産婦人科学会誌では注意喚起しているコーナーもあるようです。



低用量ピルなどを使って治療する場合、ある程度の治療期間が必要です。
しかし、低用量ピルを服用していても進行する場合もあります。
卵巣の全摘出術を選択せざるをえない場合もあると思いますが、
この場合、ホルモン補充などの治療が手術後に続きます。
チョコレート嚢腫の癌化や卵巣全摘出後のホルモン補充など
必要以上に怖がる必要はないと思いますが、注意は必要です。
もし、時間はかかっても卵巣を全摘出しなくていい治療法が見つかれば
その方が私は良いのではないか?と思っています。
人が生まれながらにして身体の中に有している組織や器官は
生きていくうえで必要のない部分はひとつもない!と考えているので
可能な限り身体に中に残しているほうがいいと思っていることと
自分の身体の中で作られるホルモンなどを外部から加えることを
可能な限り避けた方が身体にとっては良い方法だと思っているからです。



短期間の服用で出現する副作用は治験によって確認が可能です。
しかし、数年単位で治験を行うことはかなり少なく
数十年単位での治験はないに等しいため
長期間の服用でどんな副作用が出るのか知る方法がないのです。
低用量ピルやホルモン剤などの長期使用でも副作用は心配ない!
と思われたり、言われたり、聞いたりされるかもしれませんが、
もしかしたら出ているかもしれない副作用について
副作用を調べている記録や資料がないため
その症状が副作用かどうか判断することが出来ないだけだと私は思います。



京都にいた頃、妊活の鍼灸治療に来られる方は
チョコレート嚢腫のある方でも、皆さん、
妊娠して出産されることを希望されていました。
私も治療中にチョコレート嚢腫の進行について気にしていても
不妊治療を卒業された後のチョコレート嚢腫の進行について
深く考えることはほとんどありませんでした。
だから、チョコレート嚢腫の定期検診の必要性について
お話ししたことが一度もありません。
しかし、今は、定期検診の大切さをいつも考えさせられています。



こう考えるようになったのには以下の2つのことがきっかけでした。



1つ目は、私が京都の鍼灸院を退職し3年近くが経過したころ
ある方からいただいたお便りで、
現在、卵巣癌の治療をされていると知ったことです。
その方は、年齢も40歳を超えていらっしゃり、
チョコレート嚢腫をお持ちで不妊治療をされていました。



2つ目は、2回目のチョコレート嚢腫の手術をすすめられて
不妊治療とチョコレート嚢腫の治療のどちらを優先させるか?
迷っていらっしゃる方とお話しをさせていただいたことです。



私がもっとチョコレート嚢腫についてしっかり学んでいたら
もう少し力になることができなのではないだろうか?と自分を責めました。
(この気持ちは今も私の頭から離れることがありません。)
それからチョコレート嚢腫のことをもう少し掘り下げて勉強し、
チョコレート嚢腫の治療と不妊治療の関係について
どんな方法で治療するのが一番いいのか?
考えてもらえるような情報を提供できるようにしたい。
定期的な検査の必要性についても伝えられるようにしたい。と考えました。



チョコレート嚢腫のある方で不妊治療に鍼灸治療を取り入れた場合
月経時の腹痛や腰痛などの症状は、
妊娠に向けた鍼灸治療でも楽になり
痛み止めなどの服用が少なくなったり、
痛み止めの服用が必要なくなったりされた方がほとんどです。
これは、鍼灸治療を開始した直後、最初の周期から実感できるようです。
但し、痛みなどを感じなくなったからといって治癒しているわけではありません。



私は、鍼灸治療で妊活のための治療とチョコレート嚢腫の治療が
同時にできたらいいのに!と思います。
そんな鍼灸治療をされている先生もいらっしゃるかもしれませんが、
私は、まだ、そんな先生に出会ったことがありません。
不妊治療の鍼灸の講演は多いのに、
子宮内膜症(チョコレート嚢腫)の治療の講演が
今のところほとんどありません。
現代医学的には正反対の理論の治療方法を
同時に行う方法なんて理想かもしれませんが、
でも、そんな治療法があったら最高だと思います。
そんな治療法がいつか見つかるかもしれないし、
追及しても見つからないかもしれません。
それでも理想を私なりに追い続けたいと思います。