不妊治療

不妊治療

不妊治療や妊活は、原因・年齢・などさまざまな状況によって異なることもありますが、自分に何かできることがないか?と考えて、他の妊活中の方からお話しを聞かれたり、好きなものを我慢されたり、不妊治療によいと言われる飲み物やサプリメントを飲まれていたり、頑張っていらっしゃるのはどのご夫婦も同じです。

不妊の因子には、内膜の環境、ホルモン分泌、免疫など要素はたくさんあります。
そこで、まず、不妊治療や妊娠などの基本的な内容をご紹介していきます。

妊娠の条件

.男性の場合

 性機能障害がないこと
 精子が有効であること(運動率など)
(精子は運動率など問題ない場合でも精子の質が悪い場合もある)

2.女性の場合

 頸管粘液の月経周期による変化が正常であること
 成熟した卵子が作られること
 排卵されること
 排卵された卵子が卵管采にとりこまれること(ピックアップ)
 卵管膨大部で受精すること
 排卵後、卵胞に血液が充満し黄体が形成されること
 胚盤胞で内膜に着床すること など

不妊の定義

健康なご夫婦が避妊せず、1年以上妊娠しない場合「不妊」状態にある。とされています。ただ、その状態であるということだけで病気ではありません。

不妊因子

不妊治療を始められると原因を調べるため、血中のホルモンの数値や卵管や子宮などの状態を調べたりします。それらの検査で分かるのは、不妊因子です。不妊因子には≪内分泌・排卵因子≫≪卵管因子≫≪子宮因子≫≪頸管因子≫≪免疫因子≫≪機能性不妊(原因不明)≫ などがあります。現在は、ビタミンD不足や子宮内フローラの状態など治療が進んでいくと行われる検査も増えてきました。
欧米では、これら以外に甲状腺ホルモンの関与も注目され始め、内科的には問題ない数値でも不妊治療を行う際の甲状腺ホルモンの基準値を見直しも!という動きも出始めています。

さまざまな検査により明確な因子が発見された場合は、その治療を行うことで不妊因子はなくなります。ただ、検査により因子が見つからなかった機能性不妊(原因不明)、また、発見された因子は取り除けたのに妊娠に繋がらない場合などは、その原因因子は特定することは難しくなります。

※当院は、女性専門の治療院なので女性中心の内容にさせていただきました。ただ、不妊因子には、男性側に原因がある場合が約半分くらいある。ともされているので、男性も検査をされることをおすすめしています。

医療機関で行う不妊治療

医療機関で行う不妊治療は、受診された医療機関によって検査種類や治療法など異なる部分もあります。
医療機関で行う不妊治療には、タイミング法、排卵誘発法、人工授精、体外受精などがありますが、それぞれについて簡単に説明していきます。

タイミング法

経腟超音波検査で卵巣内の卵子が入っている卵胞の大きさを測定し、さらには、医療機関によっては排卵検査薬で検査を行い、排卵日を予測してタイミングを合わせる方法です。

タイミングの段階から妊娠率を高めるため排卵誘発剤を服用したり、注射したりする場合もあるようです。

排卵誘発剤の種類

  • クロミフェン(一般的な内服薬クロミッド)
  • ゴナドトロピン製剤(hMG製剤、精製FSH、遺伝子組換型FSH製剤 etc)

その他に

  • レトロゾール(不妊治療薬として、現在、認定されていないので保険適応外)
  • カバサール(高プロラクチン血症の方へ処方される) etc

排卵誘発剤について詳しくはお知りになりたい方は一般社団法人 日本生殖医療学会をご覧ください。
排卵誘発剤には副作用があるものもあります。副作用については、あまり詳しく書かれていないかもしれませんが、少しは書かれていたと思います。

人工授精

ヒューナー検査や精子に問題がある場合などに行われたり、タイミング法で妊娠されたかったご夫婦にステップアップとして行われたりする治療法です。
精液を遠心機などに入れて精子を洗浄・回収します。その精子を排卵の時期にチューブ使って子宮内に注入する方法です。

精子は全て良いわけではない

近年、不妊の原因として男性不妊も約半数ほど存在することが知られるようになりました。そのため、不妊治療を始めるとき、ご主人も一緒に行かれて精子検査をされる方も増えてこられていますし、医療機関側からも精子検査をすすめられることが多くなっています。しかし、現在、日本の医療機関で行われている運動率や精子数などの検査では、内部構造の変化までは詳しく検査されておらず、顕微鏡下の外見的な部分だけでは精子頭部の内部構造の欠損まで知ることは難しいようです。要するに、精子の運動率などが良い場合でも精子の質まで必ず良いとは言えないということです。

精子と卵子の出会い

精子が卵子に出会うと、精子から卵子の膜を変化させるための酵素が分泌されます。その酵素の働きによって、精子は卵子内に入っていくことができるのです。基本的には、1つの精子が1つの卵子内に入ると他の精子を卵子内へ入れないように卵子の膜が働きます。
この出会いまでの間に精子には戦いが待っています。奇形精子や運動率の悪い精子、また、染色体異常などのある精子は卵子に出会うまでに戦いに敗れることとなります。この道のりは精子にとっては、かなり長旅で困難です。ですから、体力のない、早く動けないなどの精子は卵子と出会うまでに自然と選別が行われていることになります。

人工授精や体外受精の場合、遠心法や人の眼などで選別されます。これらの選別で質の悪い精子を完全に取り除くのは困難だと考えれらています。(遠心法で精子が傷つく場合も稀にあるようです。)

精子の染色体異常の発生率

染色体異常に着目すると、卵子においては、数的異常が多いの対して精子では構造異常が多いとされ、染色体発生頻度はだいだい9~15%程度といわれており、現実的に、染色体異常を有する精子の完全な排除は臨床上困難ではあるが、低率ながら形態的特徴からある程度は染色体異常保有精子の回避ができるとされてもいる。(不妊治療のための卵子学から抜粋)

医療機関で「運動率、数ともに問題ありません」と言われたとしても、実際に内部構造を検査すると、卵子と接触する頭部の先体が欠損していたり、DNAが損傷していたり、空胞が認められたりと異常な頭部構造が認められる機能異常精子であることもあるようです。精子の研究をされている医師の中には「不妊の40%~50%は精子の質で決まる」と言われている方もいらっしゃいます。
それだけ、精子の質も重要だということになります。

なぜ?精子について!!

ここでお伝えしたいことは、今までは、女性(卵子)ばかりが注目されていて、精子の質についてはほとんど言及されることはありませんでした。妊娠できない原因は女性だけにあるような言われ方をしていました。しかし、最近では、精子に対しても意識の目が向くようになり始め、精子の質の大切も言及され始めています。卵子と精子のミトコンドリアだけを見れば、受精卵には卵子に含まれるミトコンドリアしか存在していません。しかし、染色体は精子に存在する染色体も深く関係しています。そして、受精卵の染色体異常はどちらによるものなのか?は知ることができないのです。だから、女性が自分だけを責めることはない。と知っていただきたい。と思い、この内容をまとめることにしました。
妊活は、どちらか片方だけが頑張るのではなく、ご夫婦で一緒に同じ時間を共有していただくことも大切だと私は思っています。

生殖補助医療

治療方法として体外受精と顕微授精があります。どちらも腟から卵巣に針を刺して卵子を取り出し、体外で精子と受精させ、新鮮胚もしくは凍結胚などの受精卵を、後日、子宮内に移植する方法です。
顕微授精は、卵子に直接、精子をひとつ入れて受精させる方法です。

生殖補助医療のリスク

体外受精が世界で始まったのが約40年前です。
以前より、リスクに対しても少しずつ分かってきたことがあります。

体外受精をされる前にはどこの医療機関でも説明会が開催されます。しかし、その説明会で不妊治療(体外受精・顕微授精)のリスクについて話をされる医療機関がどれ程あるのでしょうか。

以前は、私も体外受精のリスクについてあまり考えることはありませんでしたが、ここ最近、体外受精にステップアップされる際の金銭面以外のリスクも知り、体外受精へのリスクについても納得したうえで体外受精を行うべきではないだろうか?という考えに変わってきました。そこで、今、現在、分かっているリスクについてここでご紹介させていただきます。

受精卵取り違えのリクス

香川県で実際に起こった「体外受精卵の取り違え事故」。私は知らなかったのですが、色々調べているうちにこの事故のことをしりました。20歳代の女性だったようですが。中絶を選択されたそうです。この事故の後、日本産婦人科学会は、受精胚のダブルチェックの義務づけを行ったようですが、本当に受精胚だけのダブルチェックのみでこれらのリスクを回避できるのか?疑問の声もあるようです。

胚培養のリスク

体外培養技術は、著しく改善され、体外培養環境下でも胚盤胞まで成長しますが、現在、使用されているベストな培養環境でさえ、体内での培養環境に置き換えるには、十分ではありません。

体外での胚操作における光の影響

受精卵は、移植されて母親の体内に戻るまで胚操作の過程で可視光に暴露されます。この光暴露された卵子において活性酸素の生成を増加させ、胚盤胞でのアポトーシスを増加させることや形態的判断では良好でもDNAを切断する方法によると多くのアポトーシスを生じていることが分かっていてます。その他にも栄養外胚葉の細胞や内細胞塊などのアポトーシスにも関係があり、胎児発育に影響することが予想されています。

初期胚の遺伝子発現に及ぼす影響

マウスによる体外培養した胚盤胞と体内胚盤胞の遺伝子発現を網羅的に比較すると、遺伝子発現に差が認められています。これらは、リボソームの生合成、タンパク質合成、細胞増殖、膜輸送機能に関与するもの(人の受精卵にも存在する細胞です)で、細胞膜に局在する部分で遺伝子発現は両培養液で発生した胚盤胞で異なっていました。このことは、培養液は初期胚の遺伝子発現に影響することを示すものでもあります。

初期胚のエピジェニック制御への影響

もし、不妊治療によって染色体異常のお子さんが生まれたとしても、直接的な関連性を実証することが非常に難しく、医療過誤として判断はできないそうです。しかし、米疾病対策センターに所管・公表された大規模疫学調査によると「顕微授精に代表される不妊治療だが、その不妊治療で生まれた子は、自然妊娠で生まれた子に比べ、自閉症スペクトラムになるリスクが2倍になる」という調査報告があるようです。また、欧米では、自然妊娠で誕生した子供に比べて、先天性異常の発生率が高い傾向にあることも多数報告されているようで、その原因として、顕微授精においては卵子に針で穴を開けることや家畜繁殖業界から導入された精子に対する技術も背景にはあり、このようなリスクを起こしているのでは?と考えられているようです。
また、日本において、法の整備は行われていません。

生殖補助医療に大きな役割を担う培養士

「培養士さんってどんな資格がいるんですか?」
当院にお越しになられた方に質問されて、今まで、疑問に思ったこともなかった培養士さんの資格について調べました。
日本において、生殖補助医療における培養士さんの仕事は、精子の選別・顕微授精・受精卵の管理などと、とても重要な部分を担っていますが、国家資格ではなく「臨床検査技師の兼務や農学部で動物の卵子や精子の生殖細胞、及び胚を用いて研究を行っていた人」が採用されてことが多いようです。現在は「日本卵子学会」による講習と筆記試験、面接による認定方法と「日本臨床エンブリオロジスト学会」が技術検査と筆記試験により認定を受ける方法のみで、医療現場における培養士としての仕事を担っているのが現状だといいます。(ただ、近年になって、ようやく専門の養成機関が出来てきているようなので、今後、変わってくる可能性があります。)

参照

医療機関で行う不妊治療については、ガイドラインがありますが、治療をされている医療機関によって検査の種類や治療方法が異なります。ですが、一般的な治療法などについてお知りになりたい方は、一般社団法人 日本生殖医療学会をご覧ください。さまざまな質問に対して、回答がしてあります。

妊娠・出産は!

妊娠すること、出産することは、お母さんが知らない間に身体のさまざまな機能をフルに働かせて、いくつもの困難を何度も乗り越えなければいけません。その道のりは、小さな目に見えない細胞たちにとってはほど遠い道のりとなります。だからこそ、尊く本当に凄いことなのだと私は思います。
そして、「授かる」という言葉を使う理由が理解できる気がします。

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